温泉用語を解説「かけ湯」や「湯の華」とは?|温泉の基礎知識

【温泉の基礎知識】第6回のテーマは「温泉用語を解説」です。前回の記事では温泉地の定番グルメやお土産について解説しました。今回は温泉用語についてまとめました!

目次

  1. 【温泉用語解説】あ行
  2. 【温泉用語解説】か行
  3. 【温泉用語解説】さ行
  4. 【温泉用語解説】た行
  5. 【温泉用語解説】な行
  6. 【温泉用語解説】は行
  7. 【温泉用語解説】ま行
  8. 【温泉用語解説】や行
  9. 【温泉用語解説】ら行
  10. 【温泉の基礎知識】温泉用語を解説 まとめ

【温泉用語解説】あ行

足元湧出(あしもとゆうしゅつ)

源泉が一度も空気に触れることなく、湯船の底から湧き出している状態をいいます。湯船に浸かりながら、足元から湧き出る温泉を感じる贅沢な体験ができます。

足湯(あしゆ)

足湯は、日本人に古くから知られたフットケア入浴法の一つで、足だけを湯につける入浴法です。この入浴法は衣服を脱がなくても入浴できる上、冷えを取り除く効果があり、心臓や内蔵への負担も少なく、全身を温めることができます。足湯の起源については、紀元前の温泉文化が発達した時期から行われていたのではないかと言われています。

飲泉(いんせん)

飲泉とは、温泉を飲むことであり、病気の回復などの効能を得ようとすることをいいます。日本で温泉は入浴するものとされがちですが、ヨーロッパでは入浴と同時に飲泉が盛んに行われています。特にドイツでは、豊富なミネラルを含んだ温泉は“飲む野菜”などとして親しまれています。日本でも飲泉が可能な温泉地は数多くあります。

引湯(いんとう)

引湯とは、主に温泉を配管などを使って遠くから運んでくることを指します。足元湧出源泉以外の湯船は、すべて引湯になります。引湯することで、管内の熱が源泉から奪われ、源泉の温度が下がってしまいます。高温の源泉の場合、入浴に適した温度まで自然に下げることができるため、この方法が用いられることもあります。

うたせ湯

「打たせ湯」とは、上方から落ちる温泉水の水圧で体を刺激する温泉水圧浴のことです。この浴法は、温泉の温熱効果と水圧による刺激の効果が期待され、血行を促進して筋肉のコリを和らげることができます。別名「湯あんま」とも呼ばれる打たせ湯は、普通の入浴とは異なり、局部的に高い水圧で体を刺激することによって、リラクゼーション効果が期待されます。

内湯(うちゆ)

旅館の中にあるお風呂のことを「内湯」といいます。旅館の外にある温泉を「外湯」といい、共同浴場などがこれにあたります。

塩素(えんそ)

循環温泉のレジオネラ菌発生や増殖を防ぐ方法として、塩素などで殺菌する方法があります。循環温泉は塩素殺菌により温泉の魅力(成分量や新鮮さ)が損なわれ、塩素臭がするという風評があります。ただし、温泉の良さを塩素殺菌の有無で一概に判断することはできません。

ORP(酸化還元電位)測定

ORP(酸化還元電位)は、溶液の酸化性や還元性を示す重要な指標です。pH測定と同様の方法で測定され、pH計本体と貴金属電極(白金電極または金電極)と比較電極を使用してmV測定が行われます。一定温度(例えば25℃)で測定する必要があるため、温度に影響を受けます。ORP測定は、さまざまな分野で重要な役割を果たしています。

オーバーフロー

浴槽に常時新湯を注入して溢流している状態をオーバーフローといいます。

温泉ソムリエ

温泉ソムリエとは、温泉ソムリエ協会が認定する温泉専門家の資格です。この資格を取得するには、「温泉ソムリエ認定セミナー」または「温泉ソムリエ認定ツアー」に参加するか、「温泉ソムリエ認定講座」を自宅で受講する必要があります。温泉の正しい知識や入浴法を学ぶことで、温泉愛好家にとって重要なスキルを身につけることができます。

温泉分析書

温泉施設には、温泉分析書がよく掲示されています。分析書には、温泉の湧出地、泉温、湧出量、成分、泉質、利用上の注意事項、そして禁忌症と適応症に関する情報が記載されています。ただし、分析書の内容は調査時点での測定値であり、常にその値であるとは限りません。温泉を安全に楽しむためには、分析書の情報を正確に把握し、利用上の注意を十分に払うことが重要です。

温泉法

温泉法は、温泉を保護し、可燃性天然ガスによる災害を未然に防止し、温泉の利用を適正に行うことで公共の福祉を増進するために制定されました。この法律は、日本国内の温泉資源を長期的に保存し、地域経済の発展にも貢献しています。

【温泉用語解説】か行

加温(かおん)

加温とは、温泉源泉から湧き出た温度を上回るように熱を加えることを指します。湧出温度が低い場合に行われることが多く、ボイラーや熱交換器を利用して直接加温する方法、温水や熱水を加えて加温する方法などに分類されます。温泉施設での入浴において、加温は重要な役割を果たしています。

加水(かすい)

加水とは、温泉の湯量不足を補うためや高温な源泉に水を加えて適した温度に調整することを指します。

かけ湯

「かけ湯」とは、入浴直前に全身にお湯をかける行為のことであり、「かかり湯」とも呼ばれます。この行為は、お湯の温度に体を慣らす効果があると同時に、浴槽内のお湯を汚さないために体に付着している汚れを流すためのマナーでもあります。ほとんどの入浴施設にはかけ湯専用の設備が備えられているので、入浴前に利用してしっかりとかけ湯を行いましょう。

火山性温泉

火山性温泉とは、火山地下に存在する高温のマグマ溜まりを熱源とする温泉のことです。降った雨や雪が地中にしみ込み、地下水となってからマグマ溜まりの熱で温められ、地表に湧き出すものです。人工的なボーリングや断層の割れ目によっても発見されます。

貸切風呂 = 家族風呂

貸切風呂は、公衆浴場や旅館などでカップルや家族連れのお客様が貸切で利用できる、家族風呂とも呼ばれるものです。家族旅行の際に男女別々の風呂が設置されていたり、大風呂で酔っ払いが騒ぐため、入浴を楽しめないといった要望があるため、貸切風呂を設置する温泉地や旅館が増えています。

化石海水(かせきかいすい)

地殻変動により地下に閉じ込められた古い海水を化石海水といいます。この海水は温泉法に基づいて定義される温泉に含まれ、塩分やミネラル分を豊富に含んでいます。東京周辺には多くの化石海水温泉(黒湯など)があります。

間欠泉(かんけつせん)

間欠泉は、火山地域で規則的または不規則的に熱水や水蒸気を噴き上げる自然現象であり、温泉の一種です。世界的に有名な場所には、日本はもちろんニュージーランドやアイスランド、アメリカのイエローストーン国立公園があります。特にイエローストーン国立公園の間欠泉は有名で多くの観光客が訪れます。

共同浴場(きょうどうよくじょう)

「共同浴場」とは、地元の人々が管理する温泉を利用した、低料金または無料で入浴できる公設・私設の浴場を指します。温泉街の中心に位置することが多く、観光施設のシンボルのひとつとしても知られています。

「公衆浴場」は一般の人を想起させる表現ですが、「共同浴場」は本来は温泉地の地元住民が利用するものでした。しかし、近年は観光客にも解放される共同浴場が増えており、公衆浴場との差異が以前よりも薄れている傾向にあります。

銀イオン殺菌

水に溶けたイオン状態の銀は微量濃度でも大腸菌などの細菌を死滅させる効果があります。日常生活で普通に存在する細菌に対しても、銀系抗菌剤は高い効果を発揮することが知られています。さらに、銀は非常に安全性が高く、人間に対して毒性が低い金属であることが分かっています。

禁忌症(きんきしょう)

禁忌症にあてはまる身体の場合、温泉に入ることは避けるべきです。たとえ温泉が健康に良い効果を持っていても、禁忌症のでは効果が逆転してしまうことがあります。

掘削自噴(くっさくじふん)

掘削自噴とは、地中に管を埋め、湯脈自体の圧力によって温泉が自力で湧出する現象です。この人工的に開かれた湯道は、水圧や湯量が豊富であることを示しています。

黒湯(くろゆ)

黒湯とは、海藻や植物が腐敗した「有機物フミン酸」と「硫化物」によって、お湯の色が黒色または黒褐色の温泉のことです。このようなにごり湯は、数多くの美容や健康効果が期待されます。また、黒湯はミネラル成分が豊富に含まれるため、肌の美容や血行促進、疲労回復にも効果があるとされています。

ケロリン

富山県の富山めぐみ製薬株式会社が展開する薬のブランドである「ケロリン」は、広告施策を検討していた際に、「銭湯の湯桶に広告を出しませんか?」と提案されたことがきっかけに生まれたものです。1963年に誕生して以来、全国の銭湯や旅館、ホテル、レジャー施設などで年約5万個のペースで使用され、累計で約250万個が使用されたとされています。現在では、ケロリンブランドの雑貨も販売されています。

源泉(げんせん)

源泉とは、水や温泉が湧き出る場所を指します。この言葉は温泉とほぼ同義語としても使われています。

源泉かけ流し

一般的に温泉においては、循環させたお湯は使用せず、新しい源泉を浴槽に注いでいるものを「源泉掛け流し」と呼び、中でも循環だけでなく加温や加水していない純度100%の新しい源泉を浴槽に注いでいるものを「源泉100%掛け流し」と呼んでいます。このように、温泉愛好家にとっては源泉の質の重要性は言うまでもありません。

現代湯治(げんだいとうじ)

従来の湯治は、冬の農閑期を利用してカラダの不調を治すために、農家のおじいちゃんやおばあちゃんが自炊しながら温泉場に長期滞在するものでした。しかし、最近では若い人たちが精神的な安定やリラックス効果を求めて湯治場に訪れる傾向が見られます。現代湯治には、カラダだけでなくココロも治すという意味が含まれており、病気治療だけでなく健康維持やストレス解消にも役立つことが期待されています。

効果効能(こうかこうのう)

「効果効能」とは、特定の物質がもたらす効果を指します。温泉の「効果効能」は、泉質によって異なりますが、一般的には、体を温めることで血行が促進され、老廃物が流れやすくなり、痛みや疾病の症状が和らぐとされています。また、温泉の水圧や浮力により、筋肉や関節の動きがスムーズになり、精神的にもリラックスする「効果」があります。泉質によっては、肌に良い成分が浸透し、自然治癒力が高まるとされています。温泉分析書によって、温泉の「効能」を確認することができます。

公衆浴場(こうしゅうよくじょう)

公衆浴場は、一般の人々が利用できる入浴施設です。大衆浴場や公共浴場とも呼ばれています。

公衆浴場法(こうしゅうよくじょうほう)

公衆浴場法とは、公衆を入浴させる施設に対し、公衆衛生や風紀の観点から規制を加える法律です。公衆浴場は多数の人々が集まる場所であり、衛生上の問題が生じる可能性があるため、規制が必要です。この法律では、公衆浴場の経営についても規定されており、営業するためには保健所長の許可が必要です。許可は施設の所在地や構造設備基準、適正配置基準に従っているかどうかによって決まります。同法に違反する場合には、営業許可の取消処分や刑事罰が課せられることもあります。公衆浴場の利用者の健康と安全を守るため、この法律は重要な役割を果たしています。

鉱泉(こうせん)

鉱泉とは、地下から湧き出る温水または鉱水の泉のことで、泉温が周囲の年平均気温よりも常に高温であるか、多量のガス状物質や固形物質、または特殊な物質を含むものを指します。温泉も「鉱泉」の一種ですが、温泉は水蒸気やガスを含むのに対し、「鉱泉」は水蒸気やガスを含みません。環境省による「鉱泉分析法指針」では、25℃未満のものを冷鉱泉、25℃以上34℃未満のものを低温泉、34℃以上42℃未満のものを温泉、42℃以上のものを高温泉と分類されています。また、療養目的に使用できる「鉱泉」は、同指針によって「療養泉」と定義されています。

鉱泉分析表指針

鉱泉分析法指針とは、環境省自然環境局が制定した、温泉、鉱泉、および泉質を規定する行政指針です。日本の温泉は、「温泉法」と「鉱泉分析法指針」によって定義されています。例えば、泉温は「鉱泉分析法指針」により、冷鉱泉、微温泉、温泉、高温泉の4種類に分類されます。また、「鉱泉分析法指針」によると、医療的な効果が期待できる鉱泉は「療養泉」と呼ばれ、その温泉成分も特別に定められています。温泉の浸透圧に基づき、温泉1kg中に溶けている溶存物質の量、あるいは氷点によって、低張性、等張性、高張性という分類も行われています。日本の温泉文化を知る上で、「鉱泉分析法指針」は重要な指針となります。

【温泉用語解説】さ行

ジオプレッシャー型温泉

ジオプレッシャー型温泉は、海底に堆積し海水を多く含んだ地層が隆起運動によって形成される地形から湧き出る温泉です。長い年月を経て、ガス、石油、水に分離された水が温泉の源となります。このタイプの温泉は、メキシコ湾岸で発見されたもので、その熱水系は深さ2〜7kmに位置しています。

自家源泉(じかげんせん)

自己所有もしくは数軒で使用している源泉のことをいい、対義語は共同源泉です。

自然湧出(しぜんゆうしゅつ)

自然湧出とは、温泉が地中から自然に岩盤の割れ目などから湧き出る源泉の一種である。かつては、温泉が自然湧出することが当たり前であり、機械を使用しなくても自然に湧き出てくる源泉が主流でした。

集中管理方式(しゅうちゅうかんりほうしき)

集中管理方式とは、温泉の源泉を1ヶ所にまとめ、湯を貯めてから温泉旅館や共同浴場などに配湯する管理方法です。この方法は、温泉資源を効率的に活用することができ、コンピューターの自動管理により、温泉街全体で源泉の管理ができるというメリットがあります。ただし、貯湯することで新鮮さが損なわれるというデメリットがあります。また、異なる源泉のお湯を混ぜることも多く、湯質の劣化や源泉の個性や特徴が損なわれるというデメリットもあります。しかし、一定温度の温泉を絶え間なく配湯することで、源泉の管理が容易になり、温泉保護の観点からも優れたシステムといえます。

循環濾過(じゅんかんろか)

浴槽の水を再利用する循環式システムは、新しい湯を常に補充する必要がなく、浴槽内の湯を吸引して浴槽外に出し、濾過器で汚れやゴミを除去した後、再び浴槽に戻します。この方法は、循環濾過式と濾過器がない循環式に分かれます。当該浴槽の湯のみならず、他の浴槽の湯も再利用できます。

消毒薬剤(しょうどくやくざい)

温泉の消毒においては、温泉水に塩素を添加して細菌を除去するのが一般的です。しかし、近年は、銀イオンや紫外線照射などの方法を採用する施設も増えています。これにより、より自然な温泉水を楽しめるようになってきました。

新・湯治(しん・とうじ)

「新・湯治」とは、2017年に有識者会議が提言した、現代のライフスタイルに合わせた温泉地での過ごし方の提案です。この提案は、温泉地周辺の地域資源を活用し、多くの人が心身ともにリフレッシュできる場として楽しめるようにすること、そして多くの人が訪れることで温泉地自身のにぎわいを生み出すことを目指しています。

砂湯(すなゆ)

砂湯とは、海岸の砂浜に湧き出た温泉を利用した、特殊な温泉入浴の一種です。砂蒸し、砂風呂などとも呼ばれます。指宿市は砂湯で有名な場所であり、穴に横たわり砂をかぶって体を温めます。砂湯には砂による機械的刺激や大気療法、転地療法などの効果があります。この入浴法は、蒸気浴や熱気浴と似ていますが、温熱刺激は比較的穏やかであり、禁忌や効能は温泉療法に準じます。指宿市の天然砂蒸し温泉は有名ですが、別府市や北海道の屈斜路湖畔でも知られています。また、人工的に湿熱を与えた砂をかぶせる人工砂湯もあります。

泉温(せんおん)

泉温とは、鉱泉が地上に湧き出した際の温度、または鉱泉を取得した際の温度を指します。つまり、実際に入浴するお風呂の温度とは異なります。温泉分析表には、「泉温」と「使用位置温度」が表示されており、同じ温泉地でも、源泉によって温度が異なるため、代表的な源泉の温度を示します。体に与える影響も温度によって異なり、熱い湯は交感神経を刺激し、ぬるい湯は副交感神経を高めます。したがって、温泉浴の入浴温度によって体に起こる変化も異なるため、温度を確認しながら、使用するお風呂を選ぶことが重要です。

泉質(せんしつ)

温泉の泉質は、化学成分の種類と含有量によって10種類に分類されます。療養泉の基準を満たさない場合は泉質名がなく、「温泉法上の温泉」または「温泉法第2条に該当する温泉」と記載されます。以前は「旧泉質名」が使用されていましたが、昭和53年に環境省によって改定されました。

外湯(そとゆ)

旅館の外にある温泉を外湯といい、共同浴場などがこれにあたります。また、旅館の中にあるお風呂のことを「内湯」といいます。

【温泉用語解説】た行

地熱(ちねつ)

地熱とは、地球内部から放出される熱エネルギーのことであり、その発生源は地球の中心部にあります。地球内部は、地殻、マントル、外核、内核の4つの層に分かれており、地殻に含まれる元素の放射性崩壊が主な熱源です。この「地熱」を回収する方法はいくつかありますが、日本では火山が多いため、地熱資源が豊富であり、安定した供給が可能なため、次世代エネルギーとして期待されています。

適応症(てきおうしょう)

適応症とは、温泉療養に適した症状を指します。温泉の効果は、成分の違いによって多様であり、効果があるものでも適切な利用法が守られないと、有害な場合もあることに注意が必要です。対して禁忌症とは、温泉療養をしてはいけない症状を指します。

手湯(てゆ)

手湯は、手を温泉などに浸して行う入浴法であり、そのための設備や場所も指します。手浴とも呼ばれ、健康分野で注目されています。手湯は足湯よりも手軽に温泉を楽しむことができる施設として知られています。

湯治(とうじ)

湯治は、特に冬の時期により効果的であり、かつては日本各地で数週間にわたり温泉に滞在する習慣がありました。現代では療養的な目的だけでなく、ストレス解消や免疫力向上のための「現代湯治」が注目されています。

動力揚湯(どうりょくようとう)

動力揚湯は、自力で地表に自然湧出することができない温泉を、ポンプやその他の動力装置を用いて地下から強制的に汲み上げる手法です。この技術により多くの新しい温泉が誕生しています。

【温泉用語解説】な行

にごり湯

にごり湯とは、温泉成分によって不透明になった温泉のことです。湧出時には無色透明でも、地表に出ると気圧の変化や温泉成分の酸化によって色がつくこともあります。にごり湯の色は温泉成分によって異なり、例えば、硫黄成分が酸化してできた湯の花によってできる乳白色系のにごり湯は、神経痛などの一般的な適応症に加え、美肌効果が高いと言われています。

日本温泉協会

一般社団法人 日本温泉協会は、温泉に関する様々な事業を展開しています。具体的には、温泉に関する調査研究や資料収集、温泉地の保健、文化、観光施設の改善促進や指導、温泉の利用に関する指導や諸相談の受付、温泉地の地質や源泉保護、地域振興等の調査や指導、温泉に関する正しい知識の普及、研究会や講演会、展覧会等の開催、出版物の刊行、関係官庁・諸団体との連絡などがあります。これらの事業を通じて、温泉の良さや魅力を広く知ってもらい、温泉地の発展を促進しています。

日本秘湯を守る会

日本秘湯を守る会は、温泉という限りある地下資源を大切にし、自然環境の保持・保全に真摯に取り組んでいる宿の集団です。

入湯税(にゅうとうぜい)

入浴税とは、温泉浴場に対する地方税であり、入浴客に課される目的税です。この税金は、小規模な市町村にとって重要な自主財源であり、目的税でありながら、一般財源として運用されることがあります。そのため、市町村にとっては貴重な財源となっています。

入浴剤(にゅうよくざい)

入浴剤は様々な香りや色を持つもので、身体が温まり、疲労回復、肩こり、神経痛、腰痛、冷え性などの効果があるとされています。有名温泉の名前を冠した製品もありますが、多くの場合で温泉を再現したものではありません。浴槽の湯に入れて使用します。

寝湯(ねゆ)

寝湯とは、仰向けになってお湯につかることができる浅い浴槽のことです。寝湯に入浴することを「寝浴」と呼び、疲れた体を癒し、リラックスするために最適な方法です。

野湯(のゆ)

野湯とは、人の手が入っていない温泉のことで、山奥や海沿いに存在します。ここ最近テレビ番組で取り上げられるようになり、認知度が向上しています。全国には数多くの野湯が点在しており、この秘湯中の秘湯を探し出して入浴する体験がブームとなっています。

【温泉用語解説】は行

半身浴(はんしんよく)

半身浴とは、湯温が38度から39度のお湯に、みぞおちから下の半身だけをつけて入浴する方法です。この入浴法では、30分以上の入浴が望ましく、空調が整っていない場合は上半身が冷えるため、上着やタオルを羽織って入浴すると良いでしょう。半身浴は、健康促進や疲労回復などの効果が期待されています。

半露天風呂(はんろてんぶろ)

半露天風呂とは、野湯や温泉に屋根をかけ、浴槽を整備した、天井と三方の壁で囲まれた露天風呂のことです。多くの旅館や日帰り入浴施設では、屋内風呂だけでなく露天風呂や半露天風呂も併設されており、景色を眺めながら入浴できることや開放感を味わえることが人気です。温泉に限らず多くのスーパー銭湯でも設置されています。

日帰り温泉(ひがえりおんせん)

日帰り温泉とは「忙しくて宿泊する時間がないけど、温泉でリフレッシュしたい!」という方におすすめの温泉利用方法です。最近では、温泉旅館でも日帰りプランが増えており、宿泊せずに貸切風呂や食事つきのプランを楽しむことができます。日帰り温泉のほか、立ち寄り湯、日帰り入浴、日帰り湯などとも呼ばれ、手軽に温泉を楽しめる方法の一つです。

非火山性温泉

非火山性温泉とは、火山活動とは直接関係のない温泉のことを指します。この種類の温泉は、深層地下水型と化石海水型に分類されます。

深層地下水型の非火山性温泉は、地下深くにある高温の岩石や地下増温率※によって熱源とされた地下水が、温泉として湧き出ています。火山性の温泉と同じく、温泉が湧出する機構や泉質は多様です。

一方、化石海水型の非火山性温泉は、古い海水が地中に閉じ込められている場合に生じます。火山や高温岩帯がない地域で、化石海水が地表から数百メートルにある場合には、水温が25℃未満でも塩分が多量に含まれているため、温泉法で規定された温泉に該当することがあります。また、海に近い地域では、現在の海水や地下水が化石海水に混入することがあります。

※地下増温率:一般的に100mごとに温度が約3℃ずつ上昇し、地下1000mの地温は45℃、1500mでは60℃ほどになる。

秘湯(ひとう)

秘湯とは、山奥やかつては交通の便が悪かった場所に位置する「ひっそり人知れず、秘境の地に湧出する温泉」です。この造語は1975年に日本秘湯を守る会の設立を提唱した岩木一二三氏によって考案されたといわれています。今でも秘湯は自然豊かな環境で大切に保護されています。

噴泉(ふんせん)

自然湧出する温泉が勢いよく空に向かって噴出する源泉を噴泉と呼びます。長野の渋温泉にある地獄谷噴泉は国の指定天然記念物にもなっており、その美しさで知られています。また、噴泉のなかでも一定時間の間隔をおいて噴出するものを間欠泉と呼びます。

別府八湯温泉道(べっぷはっとうおんせんどう)

別府八湯温泉道は、大分県別府市で年中行われている温泉巡りの体験型スタンプラリーです。参加者は88箇所の温泉施設を訪れ、スタンプを集めて温泉道名人の認定を目指します。参加者はこのスタンプラリーを通して、別府市が誇る八つの温泉地を満喫しています。

歩行湯(ほこうゆ)

歩行湯とは、身体の下半身まで浸かる湯のことです。多くの施設では、玉砂利などが敷かれた底面で足裏を刺激できるため、足裏マッサージ効果も期待できます。

保養(ほよう)

温泉には心身に良い影響を与える効果があり、「休養」、「保養」、そして「療養」という温泉の三養があります。「保養」は、病気予防から健康増進までを目的とし、健康を維持するための手段です。日本人は、昔から温泉を利用して、病気やけがの治療に取り組んできました。

【温泉用語解説】ま行

蒸し風呂(むしぶろ)

蒸し風呂とは、密閉された部屋で湯気によって体を温める入浴方法の一種で、サウナと同様の効果があるものです。仏教が伝来する以前からあった入浴方法の一つで、石風呂、岩風呂、穴風呂とも呼ばれています。日本では、かつてお風呂と言えば蒸し風呂を指していました。蒸し風呂は温泉でもよく見られ、大分県別府市の鉄輪温泉にある鉄輪むし湯は、1m四方の木戸を開けると8畳の石室が現れ、温泉で熱せられた床には石菖という薬草が敷き詰められ、人が横たわる方式で入浴します。また、秋田県の後生掛温泉などで有名な1人用の箱型蒸し風呂は「箱蒸し風呂」と呼ばれています。

蒸し湯(むしゆ)

蒸し湯とは、地熱や温泉を利用した蒸気浴や乾気浴であり、体内の血液循環や新陳代謝を促進し、全身の筋肉を緩める効果があり、健康や美容の両面での効能が期待できます。

モール泉

モール泉とは、植物が長年蓄積してきた有機質を含んだ温泉であり、とくに北海道で多く見られます。例えば、北海道・十勝川河畔にあるモール泉は、かつて葦(あし)などの植物が生い茂っていた場所から湧き出ています。この温泉は、蓄積した植物が亜炭層を通って地下から湧き出ており、他の温泉とは異なる自然由来の有機物が豊富に含まれています。

【温泉用語解説】や行

薬湯(やくとう・くすりゆ)

薬湯とは、薬草や薬剤を入れたお風呂または温泉の療養の効能が発揮されたお風呂のことを指します。薬湯は日本古来から温泉療養として好まれており、群馬県の草津温泉、兵庫県の有馬温泉、新潟県の松之山温泉は日本三大薬湯として有名です。

湯あたり

湯あたりとは、温泉などで長時間入浴した際に起こる一時的な症状です。身体のだるさ、倦怠感、吐き気、嘔吐、食欲不振などが代表的な症状であり、腹痛や下痢、頭痛、寒気などの多様な症状も2日から1週間程度の間に起こることがあります。温泉を楽しむ際には、湯量や入浴時間に注意し、湯あたりにならないように注意しましょう。

湯浴み着(ゆあみぎ)

日本の温泉文化に根付いた湯浴み着とは、お風呂専用の衣類で、「湯着」や「ゆゆ着」などとも呼ばれます。この衣服は、古くから利用されており、奈良時代にはすでに存在していたという記録が残っています。湯浴み着の大きなメリットは、手術や怪我の跡などを気にすることなく、温泉を楽しめることです。近年では、湯浴み着の着用を許可する温泉や、着用を義務付ける温泉が増加傾向にあり、注目度が高まっています。

湧出量(ゆうしゅつりょう)

湧出量とは、温泉の湯量を表す指標であり、1分間に採取できる湯量を指します。この言葉は、自然に湧き出る量や、掘削した量、ポンプで汲み上げた量を合計したものを表します。また、地下水や原油、天然ガスなどでも使用されています。湧出量は、温泉地の地形や源泉数、源泉の形式などによって左右されます。湧出量が多いほど、豊富な湯量があることになります。

入湯手形(にゅうとうてがた)

温泉手形とは、温泉入浴券のことで、これを購入することで、指定された旅館や施設で温泉に日帰り入浴できる便利なチケットです。温泉旅行を計画する際には、温泉手形を利用することで、お得に湯巡りを楽しむことができます。

湯桶(ゆおけ)

湯桶とは、入浴や洗面に使う平たい円筒形の容器のことで、日本語では狭義には伝統的な木製のものを指します。しかし、広義では、入浴に使う湯を入れる桶全般を指し、現代では木製以外の金属製、陶器、合成樹脂製などの材質のものもあります。銭湯などで良く見かける「ケロリン桶」も湯桶の一つです。

湯けむり

湯けむりとは、温泉の水蒸気が空中で凝結して微細な霧状の水滴となる現象のことです。

湯冷め(ゆざめ)

湯湯冷めとは、入浴後に急激に上昇した体温を調整するため、体が汗をかいたり血管を拡張したりして、熱を放出しようとする現象です。しかし、この熱放出が過剰になると体温が急激に低下し、湯冷めの症状が現れることがあります。正しい入浴方法を実践することで、湯冷めを予防することができます。

湯の花(ゆのはな)

湯の花とは、温泉の成分が固まってできる沈殿物のことであり、別称には湯花(ゆばな)、湯の華(ゆのはな)、湯華(ゆばな)などがあります。

湯畑(ゆばたけ)

湯畑とは、温泉の源泉を地表や樋にかけて湯の花の採取や湯温の調整を行う施設です。また、湯畑は有害な硫化水素を除去する役割も持っています。硫黄成分が有害であるため、立ち入り禁止柵や警告の看板が設置されることもあります。

湯巡り(ゆめぐり)

湯巡りとは、温泉地にある宿の湯や共同浴場、日帰り入浴施設などを巡る行為をいいます。日本全国には、地域の人々に親しまれている温泉地がたくさんあり、湯巡りができる温泉として有名な場所には、兵庫県の城崎温泉、長野県の渋温泉、同じく長野県の野沢温泉、大分県の別府温泉などがあります。

湯もみ

湯もみとは、温泉の源泉の温度を下げるために木の板を使い、湯をかき回す作業のことです。温泉の源泉は約90℃と非常に熱く、直接入浴することはできません。このため、成分を薄めずに源泉の温度を下げるために「湯もみ」が行われます。草津温泉では、「草津良いとこ一度はおいで」というフレーズが有名な「湯もみ唄」が知られています。

湯守(ゆもり)

湯守とは、温泉の管理人であり、封建制度が存在した時代からその地位を担ってきました。領主から温泉の管理を任され、売り上げを納める代わりに温泉の利用を独占する許可が与えられました。多くの湯守が江戸時代に生まれ、その地位は代々継承されています。

溶存物質総量(ようぞんぶっしつそうりょう)

「溶存物質総量」とは、鉱水1kg中に含まれるガス性以外の全ての物質を指し、陽イオン、陰イオン、そして非解離物質の総計値を示します。この値は、療養泉の基準となる1978年の環境庁鉱泉分析法指針において、塩類泉に分類されるためには1,000㎎以上と定められています。

【温泉用語解説】ら行

療養泉(りょうようせん)

療養泉とは、温泉法による定義ではなく、環境省自然保護局長通知による鉱泉分析法指針に基づいています。この指針では、「鉱泉のうち、特に治療の目的に供しうるもの」として定められています。

レジオネラ属菌

レジオネラ属菌は、淡水の水辺や湿った土壌などに生息する細菌で、砂塵や冷却塔水、浴槽水、加湿器の水などに汚染されたエアロゾルを吸入することで、レジオネラ肺炎やポンティアック熱を引き起こすことがあります。集団感染は同一の感染源から起こる場合がありますが、人から人への感染は報告されていません。

ローマ風呂

ローマ風呂とは、古代ローマの公衆浴場をいいます。古代ローマには「テルマエ」や「バルネア」と呼ばれる公衆浴場がどこの都市にもあり、貧富の差を問わず誰もが利用できました。これらの場所は単なる風呂場ではなく、運動や読書、商売や飲食、そして仲間との会話や議論の場としても利用されました。現代でも、温泉施設はリラックスや健康への取り組みの場として、多くの人々に愛されています。

露天風呂(ろてんぶろ)

露天風呂とは、野天風呂や野風呂などとも呼ばれ、屋根や囲いを設けない風呂で、自然の中で入浴を楽しめる。野外に設置されるため、自然の音を聴き、四季折々の景色を眺めながら温泉につかることができる。

【温泉の基礎知識】温泉用語を解説 まとめ

温泉に関する用語を詳しく解説しました。是非、温泉旅行の前にチェックしてみてください。