湯治とは? 歴史・効果・やり方を解説!おすすめの温泉旅館をご紹介!

湯治とは何か?歴史や効果、そして湯治のやり方を解説します。さらに、湯治におすすめの温泉旅館もご紹介します。湯治について学びましょう!

湯治とは?

湯治とは

湯治とは、日本に古くから存在する文化の一つであり、温泉宿に長期滞在し、温泉の効能を利用して病気の治療や療養を行うことを指します。湯治は、疲労回復や観光を目的とした一般的な温泉旅行とは異なり、体調を整えるために温泉地での長期滞在が求められます。温泉にはさまざまな成分が含まれており、アトピーやリウマチ、ヘルニアなどの改善や痛みの緩和に効果があります。ただし、湯治を行う際は、訪れる温泉地や入浴方法などについて事前に情報を得ることが重要です。体の治療や療養を目指す場合は、専門家の指導を受けながら、適切な湯治計画を立てるようにしましょう。

湯治の歴史

奈良時代から始まった湯治の歴史は、古くは権力者に限られたものでした。しかし、江戸時代以降、街道の整備により一般の人々にも広まりました。明治時代には、大分県別府温泉に陸軍病院と海軍病院が開設され、温泉療法が実施されました。現在では、温泉は癒しや娯楽の場として一般的に楽しまれていますが、鳥取県の三朝温泉のような「湯治場」では、病気の治療を目的に温泉を利用する人々も少なくありません。湯治はかつては病を治す手段として重要視されていましたが、近年では体の不調を治すだけでなく、精神的な安定やリラックスを求めて滞在する人々も増えています。江戸時代に一般庶民に広まった湯治の文化は、現代でも秋田県の玉川温泉や島根県の三朝温泉などで継承されています。湯治の歴史と現在の楽しみ方を知ることで、温泉地を訪れる魅力がさらに深まります。

湯治の主な効果とは?

【湯治の効果①】自然治癒力の向上

湯治は、温熱効果や温泉成分によって、人間が本来持っている自然治癒力を高めて病気や体調を改善させるものです。アトピー性皮膚炎や腰痛、がんなどの治療にも効果が期待されています。他には、手術後の体力回復や疾患の完全な治癒を促したり、体の傷を癒す力を高めたりする役割を果たします。

ただし、効果や影響は個人や泉質によって異なるため、自己判断だけで行うと逆に悪化する可能性もあります。必ず医師や専門家に相談することが重要です。

【湯治の効果②】転地効果

湯治を行うと日常生活とは異なる場所に足を運ぶことになるので、心身のリフレッシュ効果を得ることができます。特に湯治場は、多くが自然豊かな場所に位置しており、ストレス解消にも効果的です。これらの効果は「転地効果」と呼ばれ、自然治癒力の向上や心身の健康回復につながります。転地効果を活かして、日常の疲れを癒し、心身のバランスを取り戻しましょう。湯治場でゆったりと過ごすことで、新たな気分転換ができ、自然の力に癒されることでしょう。

湯治のやり方や滞在期間

湯治の滞在期間

湯治の滞在期間は基本的に1週間であり、これを「一廻り」と呼びます。一般的には、最も体調を正常に戻すためには「三廻り」、つまり3週間(21日間)の滞在が効果的とされています。しかし、現代人は忙しさや仕事の制約で長期の滞在が難しい場合も多いでしょう。そこで、最近では忙しい現代人向けに「プチ湯治」というスタイルが注目を集めています。

プチ湯治とは

プチ湯治は、2〜3日程度の滞在で、生活習慣病の改善、ストレス解消、疲労回復を目的としています。週末などの短い期間を利用して行うことが一般的であり、特に若者の間で人気が高まっています。温泉地での滞在により心身ともに健やかな状態を保つことができます。

プチ湯治は、忙しい日常生活の中でリフレッシュする良い方法です。ぜひ週末などの休息時間を活用して、湯治の効果を実感してみてください。

湯治のやり方

1. 理想的な入浴回数と入浴時間

理想的な入浴回数は、1日3回ほどといわれています。入浴回数が多ければよいというわけではありません。また、1回の入浴時間も重要で、3~10分程度が適切とされています。ただし、個人差があるため、額にじっくり汗をかくまでが目安となります。入浴回数や時間を守ることで、体調を崩すリスクも軽減できます。長時間の入浴は逆にのぼせるなどの問題を引き起こす可能性があるため注意が必要です。健康を考慮しながら適度な入浴を心がけましょう。

2. 入浴前にかけ湯を行う

かけ湯は血圧の急な上昇や心臓への負担を減らすために重要です。まずは足から始めて、腰、胸の順にお湯をかけると効果的です。急に熱いお湯に浸かると心臓に負担がかかりますので、心臓から遠い手や足から掛け湯を始めましょう。また、汚れた体で温泉を汚さないためにも、かけ湯は必ず行いましょう。

3. 入浴後は温泉をなるべく流さないようにする

温泉から上がった後は温泉をなるべく洗い流さないようにしましょう。肌に付着した温泉の成分を保つため、シャワーやあがり湯で洗い流さないことがおすすめです。ただし、湯ただれを起こしやすい方は洗い流しても問題ありません。温泉の効能を最大限に享受するために、入浴後のケアには注意しましょう。

4. 水分補給を忘れずに行う

湯治においても、一般的な入浴やサウナと同様に、入浴前後にはコップ1~2杯の水を飲むことが重要です。入浴中は発汗が増えるため、血中の水分やミネラルが減少し、血液の粘度が上がることによって、血管内に血栓ができやすくなります。そのため、入浴の前後に水分補給をしっかり心がけましょう。ただし、湯あがり後にアルコールを摂取することは避けましょう。アルコールには利尿作用があり、脱水症状を引き起こす可能性があります。安全のためにも、アルコールを控えることが望ましいです。

湯治にオススメの温泉旅館12選

TOJI navi編集部がオススメする宿の中から12軒を厳選しました。はじめての湯治にオススメの宿から温泉マニアでも驚く玄人な宿までご紹介します。

1.【宮城県】東鳴子温泉 旅館大沼

宮城県大崎市鳴子の温泉旅館「旅館大沼」。鳴子温泉郷のひとつ、東鳴子温泉で120年の歴史がある。温泉は2つの異なる源泉を使っており、うすい紅茶色をした自家源泉は独特な木の香りがする。浴室が多く、7つの内湯(うち5つは貸切湯)と離れの庭園貸切露天風呂「母里の湯」がありミニ湯めぐりが楽しめる。五代目湯守の大沼伸治さんが提唱する大沼流現代湯治(Slow Onsen)は自身の体験と湯治の本質を理解する医師らによって生み出され、これは現代における「湯治」の新たな手法として注目されている。

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2.【山形県】姥湯温泉 桝形屋

姥湯温泉 桝形屋は、開湯450年の歴史を誇る由緒ある宿です。標高1300Mの奥深い谷間に位置し、南画世界を思わせる奇岩怪岩に囲まれた絶景の中で、心身共に癒される温泉旅を楽しめる。泉質は源泉かけ流しの単純酸性硫黄温泉で源泉温度は51度。露天風呂では眼前に広がる渓谷美を仰ぎながら入浴できる。山菜料理も自慢で、地元の食材を多く使用している。春の新緑や秋の紅葉は特に見事で、山形県内の温泉中でも第一といわれている。桝形屋での滞在は、姥湯温泉の豊かな自然と湯治文化を感じることができる素晴らしい体験となる。

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3.【北海道】二股らぢうむ温泉

北海道屈指の湯治場として知られる「二股らぢうむ温泉」。公式ページには湯治に訪れたお客様の体験談が多く記載されている。泉質は全国的にも珍しく、微量のラジウムと多様なミネラル成分が豊富に含まれている。露天風呂からみえる外壁には泉質の濃さを表すように、巨大な石灰華ドームが存在する。この石灰華ドームは炭酸カルシウムを主成分としており、北海道の天然記念物にもなっている。

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4.【宮城県】川渡温泉 高東旅館

川渡温泉の高東旅館は、里山の中に位置し、ゆったりとした時間を過ごすことができる湯治宿。名湯「東五郎の湯」は含重曹芒硝-硫黄泉で、香りの強い緑色の湯。館内は綺麗に保たれ、自炊場も利用しやすいのが魅力。初めての湯治宿におすすめ。

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5.【栃木県】奥塩原新湯温泉 湯荘白樺

塩原温泉郷の一つで標高970mに位置する奥塩原新湯温泉 湯荘白樺。お風呂は源泉掛け流しの硫黄泉。四季折々の自然を満喫しながら、温泉で心身ともにリフレッシュできる。また、カップルから大人数まで対応する様々なお部屋があり、料理も旬の味覚を地元産のワインや地酒と共に提供している

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6.【山形県】肘折温泉 三春屋

山形県大蔵村にある肘折温泉 三春屋は、三つの源泉かけ流し温泉と山里料理を楽しめる宿。館内はノスタルジックな雰囲気で、夕食は旬の山菜を使った山里の手料理。豊かな自然に囲まれた静かな環境でのんびりと過ごすことができる。

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7.【秋田県】玉川温泉

秋田県田沢湖の国立公園内にある玉川温泉は、療養・静養を目的とした湯治宿。温泉は無色透明でpH1.2と極めて酸性が強く、源泉温度は98度。硫黄臭と微量のラジウム放射線が含まれ、多くの疾患・症状の改善や治癒能力の向上が期待される。「湯治のふるさと」をコンセプトに、食事付きの旅館部とお部屋のみの自炊部の2種類の宿泊部門がある。玉川温泉は療養・静養を目的とした方に特におすすめ。

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8.【新潟県】関温泉 朝日屋旅館

関温泉 朝日屋旅館は、新潟県妙高高原温泉郷に位置する温泉旅館で、源泉かけ流し100%の温泉を提供している。この温泉は、鉄分が沈殿しているため、やや褐色がかったお湯が特徴であり、入浴後は肌がなめらかになり、清涼感を感じられる。関温泉は、上杉謙信の隠し湯としても知られており、本格的な開湯は享保13年といわれている。

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9.【岩手県】国見温泉 石塚旅館

岩手県岩手郡雫石町に位置する国見温泉 石塚旅館は、江戸時代末期から続く歴史を持つ温泉宿。南部の殿様の隠し湯として知られるこの温泉は、硫黄泉と炭酸水素塩泉の二つの効能を持ち、特に硫化水素型の硫黄泉が人気。源泉100%掛け流しの黄緑色の温泉は、独特の湯色と強い硫化水素の匂いが特徴で、湯の花も豊富に沈澱している。主に登山客や温泉マニア、湯治客に人気がある。自炊館は災害と老朽化により廃止。

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10.【鹿児島県】妙見温泉 田島本館

妙見温泉 湯治の宿 田島本館は、田島十郎次が100年以上前に湯治場として創業した歴史ある宿。周囲を山に囲まれ、天降川や犬養の滝が流れる中津川で、静かな山里の温泉ライフを満喫できる。宿には自炊施設もあり、湯治場の雰囲気が残っている。3種類の温泉も楽しめ、神経痛やリウマチ、肩こりや筋肉痛に効く「神の湯」、茶色の湯の華が浮かぶ「キズ湯」は、切り傷や肌荒れ、汗疹に良く、湯上りはしっとり感が心地よい。「胃腸湯」は43度と熱めの温泉。

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11.【栃木県】鬼怒川温泉 仁王尊プラザ

鬼怒川温泉 仁王尊プラザは、下野の名湯で天然温泉をかけ流しで楽しめる温泉宿。男女各3か所の風呂があり、名物の屋形船露天風呂は、鬼怒川ライン下りで使用されていた遊覧船をそのまま浴槽にした非常に珍しい露天風呂。源泉名は「仁王尊の湯」、泉質はアルカリ性単純硫黄温泉で、泉温は43.6℃、湧出量は265 L/分。

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12.【岩手県】大沢温泉 湯治屋

岩手県花巻市にある大沢温泉 湯治屋は宮澤賢治ゆかりの湯治宿。調理器具や食器を無料で貸し出しており、宿泊客は持ち込んだ食材を自由に料理できる。また、大沢温泉名物の混浴露天風呂はアルカリ単純泉で神経痛や筋肉痛、健康増進に効果的。お食事処は豊富なメニューがあり、湯治や素泊まりの方にも充実したサービスを提供している。昔ながらの客室でのんびり過ごすこともでき、ゆっくりとした時間を過ごしたい方におすすめの宿。

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湯治とは? 歴史・効果・やり方を解説!おすすめの温泉地をご紹介!まとめ

湯治は、古くから日本で行われてきた文化であり、現在でも多くの人々に支持されています。湯治の効果としては、自然治癒力の向上や転地効果などがあります。湯治を行う際のやり方は、まずは自分の体調や目的に合った温泉地を選び、温泉に入浴しながらゆっくりとリラックスすることが重要です。まとめると、湯治は精神疲労の改善や健康維持、病気の予防・改善に効果が期待され、温泉地選びや適切なやり方を実践することでその効果を最大限に引き出すことができます。ぜひ、湯治を体験してみてください。

湯治に関するQ&A

A.宿の宿泊プランを見て、「自炊プラン」や「プチ湯治プラン」があるところは、はじめての湯治でも親切に教えてくださる旅館が比較的多いと思います。

A.湯治宿ではアメニティがない場所も多くあります。事前に宿に確認した上で、タオルや小物類(シャンプー・ボディーソープ・歯ブラシセットなど)、寝衣、下着、冬の場合は防寒具などを持参しましょう。

A. 温泉が混雑する傾向が高いのは、ゴールデンウィークやシルバーウィークといった大型連休や年末年始のほか、お子様の長期休み期間です。よって、前述の時期を除く、平日は混雑がさけられ、とてもゆったり湯治ができます。